こんにちは、はえおーです。
デュビアを効率良く繁殖する上でよく言われるのが、飼育ケージに対して生体を多めに入れ過密気味にて飼育する、所謂”過密飼育”。
かくいう私も過去記事で、デュビアを殖やすなら過密気味での飼育をおススメしてます。
ブリーダーとして今もデュビアを殖やし続けていますが、この”過密飼育”というもの。
経験を重ねる中で、メリットもあればデメリットも感じるようになりました。
そこで今回はそんな過密飼育の良い点・悪い点を、自身の経験則から洗い出し確認ながらもご紹介していきたいと思います。
以前の記事でも簡単にメリット・デメリットをご紹介していますが、今回はもう少し深掘りしてご説明致します!
デュビア繁殖に興味のある方はよければ是非参考にしてみて下さい。
過密飼育のメリット
まずは過密飼育の良い点から見ていきたいと思います。
個人的に過密飼育のメリットを感じるのは以下の3点です。
- 雄雌の繁殖行動が盛んになる
- 集団行動により餌食いが促進されやすい
- 生体が密集する事で保温効果が高まる
あくまで経験則からの所感になりますが、順にお話したいと思います。
雄雌の繁殖行動が盛んになる
これこそが過密飼育が推奨される一番の理由だと言えます。
成虫の♂♀が多ければ多いほど比例して繁殖行動の機会が増えます。
そしてその雌の数だけ次々と産卵していきますので、子供がどんどん増えていきます。
これに関しては理論的にも経験的にも概ね上記の通りだと感じます。
やはり数を抑えて飼育するよりも、過密状態で成虫の♂♀を飼育した方が繁殖のサイクルは圧倒的に早いです。
繁殖を目標とするならば、特別な理由がない限りは数を多めに調整して飼育するのが一番の近道だと思います。
集団行動により餌食いが促進されやすい
これはあくまで所感によるもので実証実験などをした訳ではありません。
ですが私の環境では数の多いコロニーの方が少ない方に比べて、個体の餌への執着が強い傾向にある事が多いです。
初めは数の差によるもので匹数の多いコロニーは個体が多い分、見た目的にそういう風に見えているだけかと思っていました。
しかし前者と後者では、餌を投入してから食いつくまでの速さや動きに明らかな差があるように思えます。
全体数の多い方は先遣隊?のような個体が数匹食いつくと、どんどんと雪崩れ込むように個体全体が餌の元へすぐさま群がります。
対して少ない方は餌を警戒する時間が長く、食いつきまでに時間が掛かる事があります。
また、最初のデュビアがようやく食いつき始めても、それには続かず食いつきに来ない個体も居たりして食べる事に対し消極的な様子です。
これは推測ですが、集団で生活するデュビアにとって何か変化を感じた個体が居るとその周囲の個体に感じた情報が次々と伝っていくのではないか、と思います。
その為、過密状況では情報(餌)が伝わっていく速度や範囲も広く、全体にしっかり伝わりやすいのではないかなと。
あくまで憶測の域を出ませんが、私の飼育下では過密状況により餌食いに少なからず差が出るのは確かとなっています。
生体が密集する事で保温効果が高まる
これは冬場の寒い時期に働くメリットです。
デュビアが密集してるほど、シェルター(卵パック)内は暖かく保たれている事が多いです。
単純にデュビアが集まる事で熱を逃がしにくくするのだと思います。
特に卵パックは保温性に優れている為、触るとほんのり温かみを感じる程です。
気温は餌食いに影響しますし、餌食いは成長・繁殖に直結します。
気温の下がる時期に熱を逃がさずに保温されるのは大きなメリットだと感じています。
過密飼育のデメリット
では次に反対のデメリットについてです。
デメリットに感じるのは以下の3点です。
- 過密により行動範囲が制限される
- 脱皮直後を狙われるリスクが高まる
- 過密箇所で斃死があると連鎖しやすい
こちらもメリット同様、順にお話していきたいと思います。
過密により行動範囲が制限される
私がデュビア飼育を始めて一番最初に体感したデメリットです。
あまりにデュビアの数が多すぎると、個体同士が邪魔をして自由に動ける範囲が狭まれ色々と不都合が起きます。
例えば餌を与えた際に過密が過ぎると、シェルター奥のデュビアが餌を食べにすぐ出てこれないような状況が生まれやすくなります。
他にも何かデュビアが驚いた拍子に多くの個体が卵鞘持ちの雌を足蹴にしてしまったり、またその雌が狭い隙間を逃げ回ったりする事が原因で卵鞘を落としてしまう事も少なくありません。
個体がある程度自由に動き回れるスペースは必要だと感じます。
脱皮直後を狙われるリスクが高まる
デュビアは基本的に共食いを好みませんが、脱皮直後に限っては狙われやすいです。
脱皮直後の湿り気のある脱殻を他のデュビアが齧っている様子を見た事がありますが、恐らく脱皮後のしっとりした体表に残る水分を求めるのではないかと思います。
とはいえ積極的に狙われるわけではないのですが、やはりコロニー内の全体数が多いとその可能性も高くなりがちです。
羽根を齧られる程度で終わればいいですが、最悪完全に食べられる事もあります。
本来共食いを好まないデュビアが共食いを起こす辺り、”過密状況が適切ではない理由の一つになっているのでは”と思います。
過密箇所で斃死があると連鎖しやすい
連鎖死に関しては以前の記事でも触れさせて頂きました。
現時点で連鎖死は、死んだ個体の体液が周囲の湿度や環境を悪化させる事で次々と斃死を引き起こしているのではないかと考えているのですが正確な理由は不明です。
しかし経験上、この連鎖死は過密であればあるほど引き起こされやすい事が分かっています。
恐らく先に説明した”過密による行動範囲の制限”から餌を食べれない個体や弱る個体が増え斃死が起き、その付近から逃げれない弱った個体が次々死んで連鎖していくのではないかと思います。
この現象も過密飼育による弊害の一つと個人的に考えています。
適切な過密飼育の目安とは
以上が私の感じた過密飼育のメリット・デメリットです。
繁殖促進には有効な飼育方法ですが、こまめな観察とメンテナンスが必要不可欠な飼育方法だと言えます。
過度の過密飼育は増えるどころか斃死を生む原因にもなり得ます。
過剰な過密を避けるよう注意を払いながら、適度な過密飼育を意識して管理していくのが大量繁殖のコツだと思います。
しかし”適切な過密状況を作る”というのは中々難しい話ですよね。
飼育状況によって条件が色々変わってくるからです。
どんなケージに、どのサイズのデュビアを、何匹入れるのか、それぞれの事情によって違ってきますよね!
そこで最後に、今の環境が過密すぎるのかどうかをすぐ判断出来る「ちょっとした目安」をご紹介して終わりたいと思います。
自身の経験と飼育環境に準ずる目安なだけに全ての環境に当てはまるものではありませんが、環境が近しい方はぜひ参考にしてみて下さい。
シェルターの密集具合を確認してみる
まずはシェルター(卵パック)の一部をどかすなり捲るなりしてみて、シェルター内部にデュビアがどう収まっているか確認してみて下さい。
シェルターにデュビア同士が過度に重なる事なく隠れているようでしたら、シェルター内を移動する為の隙間も確保されているので過密によるトラブルも少ないかと思います。
しかしデュビア同士がお互いを土台の様にしてみっちり詰まっているような状況は要注意です。
上記画像くらい密集していると個体同士がうまく行動出来ずにいる場合が多く、先に挙げたデメリットが起こる可能性が高くなります。
特に雌は雄よりも身体が太く大きくなる事が多いので、比率的に雌を多めに飼育している方は気を付けた方が良いです。
移動スペースが作ると異様に餌に集まる
またメンテナンス時などシェルターをどかしたりしてスペースが出来た際に、残っている餌へ大量にデュビアが集まった時なんかも過密が過ぎている場合があります。
そういったデュビアは餌を食べようと移動したくとも、過密によりうまく移動できなかった可能性があるからです。
正常な匹数でも一部の個体が残餌に寄ってくる事はあるので、多少の数ならばそれほど気に留める必要は無いです。
しかしあまりにも多くのデュビアが集まってきた場合は、移動のスペースが確保出来ていない事を疑った方が良いかもしれません。
これは過密だけでなくシェルターの形状や置き方などに問題がある時も考えられます。
しっかり全体が自由に餌を食べられるよう調整したいところです。
デュビアは密集しますが過密環境を好むかというと、個人的にはまた別のような気がしています。
あまりにも数が多くなってしまった際は、トラブルが起こる前にケージを分けたり株分け等する事をお勧めします。
繁殖サイクルをうまく回すためにもしっかり環境作りをしていきたいとこですね。
以上、経験則から感じた”過密飼育のメリット・デメリット”でした!
読んで頂いた方のデュビア繁殖の参考の一つになれたら幸いです。
では、また!
コメント