2023年6月1日より【アカミミガメ・アメリカザリガニ】への規制が決定した件について

ミシシッピアカミミガメ

こんにちは、はえおーです。

 

今年の1月20日に、アカミミガメ及びアメリカザリガニが正式に規制の対象になる事が閣議決定されました。

これにより2023/6/1より、同2種は条件付特定外来生物に指定される事となりました。

 

今回はアカミミガメを飼育している自分にとって無関係とは言えないこの規制について簡単に触れると同時に、規制施行による今後の影響なんかを少しだけ考察してみたいと思います。

宜しければお付き合い下さい。

 

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特定外来生物と”条件付”特定外来生物とは

 

まず初めに、「そもそも特定外来生物て何ぞや?」という方の為に簡単に説明したいと思います。

 

”特定外来生物”というのは、”外来生物法”により日本国内には元々存在しなかった外国の生物であり、国内の自然生態系や農産物、あるいは人命を脅かす恐れのある生物として指定された生物群の事を指します。

代表的な例を挙げると、河川の生態系を著しく破壊する恐れありとして指定された”ブルーギル”や”ブラックバス”、人的被害の危険ありとして指定された”セアカゴケグモ”なんかが有名でしょうか?

爬虫類で言えば”カミツキガメ”なんかが特定外来生物として広く知れ渡っています。

 

そしてこの特定外来生物に指定された生物を特別な許可無く、「飼育(保管)・販売・譲渡・放出・運搬・輸入」する事を原則禁止しています。

要は、特定外来生物に指定されている生体を一般人が購入(または捕獲後)飼育しようとしても、買い手側も売り手側共に「それは禁止されてるからダメ!絶対!!」ってなる訳です。

 

ただし、例外的に特別外来生物に指定される前から飼育・保管しており、またそれぞれの特定外来生物に定められた飼育基準を満たした上で環境省へ申請後に、飼育許可が下りた場合は継続して飼育可能となります。

しかしこの飼育基準を満たすのは困難で、通常の家庭内で指定された飼育環境を用意するのは非現実的である事が多いようです。

 

  • 特定外来生物とは外来種かつ自然環境や人への被害の恐れのある生物として特に指定された生物群の総称。
  • 飼育保管販売栽培譲渡放出運搬輸入が原則禁止されている。
  • 指定前に飼育していた場合のみ、申請許可後に継続飼育可能だが申請のハードルは高い

 

 

対して今回発表された”条件付特定外来生物”とは、従来の”特定外来生物”に適用される規制内容の一部を変更したものとなっています。

 

具体的には、従来の特定外来生物に於いては禁止されている「飼育・譲渡・栽培(繁殖)・運搬」が認められており、それに伴う許可申請を特に必要としないとされています

つまり今年の5月31日以前までに条件付特定外来生物を飼育していた場合は、特に許可申請などせずに継続飼育して良いよーって事になります。

また規制施工後でも譲渡は認められており、飼いきれなくなった場合などに於いて営利目的では無い譲渡であれば許可無く譲渡可とされています。

上記の事から特定外来生物の規制と比べると本規制は大分緩和された規制であり、特に現状飼育している人への負担はほぼ掛からない内容と言えます。

 

 

ただし、一口に「飼育・譲渡・栽培(繁殖)・運搬」が認められるといっても何でもかんでもOKという訳では無いようで、状況によっては申請許可を必要とする場合もあるようです。

 

例えば、

  1. 愛玩目的では無い飼育(※展示や教育に利用する為の飼育など)
  2. 無償では無い営利を目的とする譲渡や、配布数が多く広い範囲での無償譲渡

このような場合は例え「飼育・譲渡・栽培(繁殖)・運搬」の何れかに該当したとしても許可の申請が必要だったり、状況によっては禁止行為に該当する可能性があるので注意が必要です。

他にも繁殖そのものは規制されていませんが、繁殖した個体を大量に譲渡したりするのは譲渡では無く”頒布”と見なされ許可が必要になるようです。

また”運搬”も捕獲した個体を運ぶ事自体は許可不要ですが、一度持ち帰った個体を再度同じ場所に放すのは”放出”に該当する為、違法行為とされています

規制に関するQ&A

<繁殖はできますか?>

  • 一般家庭で飼育している個体が繁殖した場合、生まれた子ガメや子ザリガニについても寿命を迎えるまで責任をもって飼育してください。特にアカミミガメの寿命は20~40年と長く、アメリカザリガニも飼育下では5年程度生きることがあります。不用意な繁殖は逸出(=野外への放出。違法行為)に繋がりかねないため、繁殖させてしまわないよう気をつけましょう。また、卵や生まれた個体を広く配ることは、たとえ無償であっても「頒布」に当たるため、許可無しで行うことはできません。

<捕獲や移動はできますか?>

  • 販売・頒布の目的以外であれば、捕獲した個体を持ち帰ることは規制されません。しかし、「放出」は禁止されますので、いったん持ち帰った個体を再び野外に放すことは、違法となります。そのため、安易な気持ちで持ち帰ることは絶対にしないでください。いったん持ち帰った個体は、寿命を迎えるまで飼育してください。
  • 捕獲してすぐにその場で放すこと(キャッチアンドリリース)は規制対象ではありません。

出典:環境省ホームページhttps://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/regulation/kisei.html(一部抜粋)

 

その他にも、愛玩目的でも”飼育環境・管理が不十分な為に脱走した”と見なされた場合は違法とされる可能性があったりと規制自体は緩和されているものの、従来と同じ感覚で扱うと気付かない内に要許可行為や違法行為圏内に足を踏み入れてしまっている場合があるかもしれません。

該当行為に左右されますが、違反内容によっては個人で最高3年以下・もしくは300万以下の罰金と非常に重い罰則を科せられます。

そうならない為にも環境省のホームページ内に於いて”条件付特定外来生物”について説明・記載されているページリンクを下記に貼っておきますので、継続飼育・若しくは新規飼育を検討している方は一度目を通しておく事をお勧めします。

環境省ホームページアカミミガメ・アメリカザリガニの規制について

 

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規制決定による影響は?

 

そんな規制施行が正式に決まったわけですが、それによって今後どうなっていくかを少し考察してみたいと思います。

 

まずほぼ間違いなく、ペット用として販売されているアカミミガメ類やアメリカザリガニ類は安売りされると思われます。

言い方は悪いですが販売側からすれば5月31日までに売りきってしまわないと、そのほとんどが不良在庫になってしまうからです。

 

ちなみに細かく書くと、規制対象は”ミシシッピアカミミガメ”だけでは無く、その亜種である”カンバーランドキミミガメ”や”キバラガメ”も規制対象に含まれるそうです。

アカミミガメのノーマル種は市場価値の低さからか販売される所を見かけなくなりましたが、キミミガメやキバラガメ、アカミミガメでも”アルビノ”や”パステル”なんかは今でも人気があります。

 

※アカミミガメのアルビノ種。全体的に白く見た目的に美しい個体が多いです。

 

アメリカザリガニも現在では様々なモルフが生み出されており、見た目も非常に美しいです。

しかし前述の通り、その全てが規制対象となる為これらの個体はセール価格として投げ売りされる事でしょう。

規制後は手に入れる機会が全く無い訳ではありません(※譲渡されるなど)が、能動的に入手するのはほぼ不可能に近くなる事が予想されます。

上記の個体群に惹かれている人にとっては、今年5/31までが文字通り最後の買いチャンスになりますのでこの機会を逃さないようにしましょう。

 

 

それとあまり考えたくはありませんが、もしかするとこれを機会に生体を手放す人も出てくるかもしれません。

緩和されているとはいえ、規制自体は飼育している限り永遠に続きます。

うっかり事故でも違反行為と判断されれば今後は重い罰則を受ける事になります

現在進行形で飼育しているほとんどの飼育者達は大事なペットを簡単に手放す事はしないと思いますが、中には違う考え方の人もいるかもしれません。

大切なペットをどうすべきか、今一度慎重に判断して頂く事を願います。

 

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これから飼育を始める人は慎重に

 

最後にアカミミガメ種をこれから新しく飼育しようと考えている方へ向けて、自身の経験則からのお話を少しだけして終わりたいと思います。

以前別記事にも書いた事がありますが、私は普通のアカミミガメを1匹飼育しています。

 

※ウチの亀”すいか”の甲長は約23㎝。中には最大30㎝まで育つ個体も。

 

譲渡によって迎えた子でして、来た時には既に上記の様なアダルト個体でした。

 

ただはっきり言いまして、この子が今いる爬虫類の中で一番世話が大変です

 

まず大きいのもあってか、水の汚れ方が半端じゃないです。

夏場なんかは1日換水しない程度ですぐケージから悪臭が漂ってきます。

 

対策として外部フィルターを用いた事が過去にありましたが、汚れでフィルターがすぐ目詰まりを起こしてしまう程です。

そのまた対策として給水部分にクリーナーをかませてみたものの、今度はその強大な前足によって翌日には見事に外されてました。

給水・排水パイプも元の位置より大幅にずらされており、何度やっても同じだったので今は外部フィルターは諦めて季節によって1~3日に一度のペースで水換えしています。

それなりの水量の換水ですので、はっきりいって結構大変です。

特に冬季は水道水が冷たいので、大量の常温水を用意しなければなりません大変です。

 

※約20ℓ(約20㎏)の水を一回に2~3杯ほど換水します。

 

また力が強いのもあってヒーターやサーモセンサーなんかは上手く岩の後ろに隠したりと、考えて配置しないとめちゃくちゃにされます。考えてもめちゃくちゃにされます

ちなみにこの子は通常サイズのレンガブロックなんかは余裕で動かします。

 

登り用の岩石。重さは10㎏を軽く超えますが、それでも動かす事も。

 

極めつけはケージ内を泳ぎ回り、壁にぶつかる事(通称クレクレダンス)で生じる音です。

 

これがうるさいです。

 

いやほんとこのサイズの衝撃音はマジでうるさいです。

ガンッ、ガッ、ガガッ、ガンッ・・・ってのが昼夜問わずリズミカルに響き渡ります。

 

そして大きいのでよく食べます。

そして汚します。

そして水を換えます。

そして動き回ります。そしてよく食べ(ry…

 

 

大体こんな感じです。脚色してません。マジでこんな感じです。

 

丈夫なので飼育は簡単な部類ですが、同時に飼育が大変な種でもあります。

またよく言われますが、とにかく大きくなるので通常販売している大きさのガラス水槽では最終的に手狭になる可能性が高いです。

その為大部分の人が大きな収納ケースなんかで飼育しています。

つまり最終的にはかなりの飼育スペースが必要になる訳です。

 

おまけに長生きします。

通常でも10~15年、下手をすれば20年以上の付き合いになります。

その間ずっと餌代、ヒーター・赤外線・紫外線灯等の光熱費、上記の水換えや飼育音と付き合っていかなければなりません。

 

決して安易に飼育を始めて良い種では無いと個人的には思います。

 

規制が施行されてからの入手はほぼ不可能ですから、”今のうちに”という気持ちが湧くのは良く分かります。

しかし本当に終生飼育可能なのかどうか、良く調べてしっかり検討願います。

「アカミミガメ 飼育」等で検索すれば現在飼育している方達のブログなんかも一杯出てきます。

”どんな風に育てるのか?何が大変なのか?”等々、溢れる程情報として紹介されてると思います。

それらを把握した上で自身の環境でもしっかり飼育出来るかどうか、是非一度シミュレーションしてみて下さい。

 

甲羅干しするアカミミガメ

 

色々大変な事ばかり書きましたが、もちろん良い面もあります

前述したようにとても丈夫ですし、愛嬌もあり、また人に良く慣れてくれます

適切に飼育する事で、もはや懐いているといっても遜色ないレベルの個体もこの種ではそう珍しい話ではありません。

付き合い方さえ間違わなければ、長年に渡ってとても良いペットになってくれるのも本種の魅力だと思います。

 

悲しい事に規制が入る事が決まった本種ですが、今後どのように接していくかは飼い主次第です。

持て余して邪魔者となってしまうのか、最良のペットとして長く付き合っていくのか、飼い主の覚悟と心がけ次第でどちらにも成り得ます。

願わくば私も含め、全ての飼育者と個体が後者になると信じたいですね。

では、また。

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